パルジファル ハンガリー国立歌劇場
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パルジファル
作曲:リヒャルト・ワーグナー
初演:1882年7月26日 バイロイト、祝祭劇場
台本:作曲者ワーグナー自身による(ドイツ語)
あらすじ
時と場所:中世、スペインのモンサルヴァート城
第1幕
スペインのモンサルヴァート。老騎士のグルネマンツが大樹の下で、2人の従者たちと眠っている。彼はゆっくりと起き上がり、アンフォルタス王が湯浴みをする時間だと、従者たちをせき立てる。そこへ2人の騎士が来て、届けられた薬草が全然効かなかったと告げる。すると突然従者が、勇ましい女の騎手が来ると叫ぶ。騎士はあれは、クンドリーだと答える。彼女は王のために、アラビアから薬を持って来たのだった。王が輿に横たわった姿であらわれ、彼女から薬を受け取り、湯浴みするために去る。グルネマンツはこれまでの経緯を語る。「魔術師クリングゾルの呪いを受けたクンドリーは、その手先になってしまった。クリングゾルの誘惑に堕ちた王は聖なる槍を奪われ、その槍で傷つけられ、その傷に悩まされるようになる。そして神託が下り、『共に苦しみ知を得る清らかな愚者、神に選ばれた彼を待て』の言葉が聞かれる。」以上がグルネマンツの昔語りで、このとき湖から叫び声が聞こえる。一羽の白鳥が傷ついて、グルネマンツの傍らに落ちる。やがて襤褸をまとった1人の青年が、騎士に引き立てられて来る。彼がパルジファルで、神の使いの白鳥を狙ったと白状する。グルネマンツからその非行を諭され、パルジファルは大いに反省して弓矢を折ってしまう。クンドリーがこの青年の生い立ちを語り、それを聞いたグルネマンツは、彼こそ神託の愚者かも知れないと考え、聖杯の儀式を見せるために、寺院へ彼を導いて行く。
場面は寺院の中に変わり、聖杯の前で愛の聖餐が行なわれる。王が輿に乗ってあらわれ、先王のティトゥレルの声が響き、聖杯の覆いをとることを命じる。すると聖杯に一筋の光が射し、王は聖なるパンと酒を騎士たちに分け与え、輿に乗って去っていく。じっとみていたパルジファルに、グルネマンツはこの式が分かるかと訊ねる。パルジファルは,無言で首を横に振る。グルネマンツは怒って、パルジファルを聖域から追い出す。天井からは不思議な、神託の合唱が聞こえて来る。
第2幕
クリングゾルの城。クリングゾルが魔法の鏡を眺めながら、眠りにおちていたクンドリーを起こす。彼は鏡に映った1人の愚者を誘惑せよと命令する。だが彼女は相手が、愚という楯を持っているので、征服しにくいと答える。パルジファルが登場すると、クリングゾルは魔法で世にも美しい庭園を出現させ、魔女たちに愚者を誘惑する合唱をさせる。魔女たちは官能的で魅惑的な、誘惑の歌をうたい始める。彼は子供のように無邪気で、反対に魔女たちは、彼を我がものにしようと争いを始める。嫌気がさしたパルジファルが、その場を去ろうとすると、クンドリーが絶世の美女の姿になって、彼をなまめかしく呼び止める。彼は長いあいだこの名前で呼ばれたことがなかったので、驚いて立ち止まり、自分の名がパルジファルだったのを思い出す。そしてクンドリーは情熱を傾けて、彼の母親ヘルツェライデのことを語り始める。彼は母の自分に対する愛の深さを初めて知り、そうとは知らずに1人置き去りにして、心痛の余り死に至らしめたのを後悔し、思わず悲痛な叫び声を上げる。クンドリーは彼のその気持ちを慰めると称して、彼の口に熱烈なキスをする。そしてこのキスが、聖杯を守る騎士たちの運命を左右した餌だった。パルジファルはこのキスのために、哀れな王アンフォルタスを思い起こし、そして改めて恐怖を感じるのだった。またクンドリーは自分の誘惑が、功を奏さなかった結果を意外に感じる。彼女はクリングゾルに助けを求め、彼は王から奪った聖なる槍を持ってあらわれ、パルジファルに投げつける。ところが不思議なことに、槍はパルジファルの頭上で空中に止まる。逆にパルジファルがその聖槍で十字を描くと、物凄い音響とともにクリングゾルの城は崩れ落ち、魔法の花園は荒涼とした荒地になり、クンドリーは絶叫してその場に倒れる。するとパルジファルは、彼女に一瞥をくれてその場から立ち去る。クンドリーの目はどこまでも、パルジファルの姿を追っている。
第3幕
モンサルヴァートの森の夜明け。第1幕の数年後で、グルネマンツはすっかり年老いている。隠者のような生活をしていて、今日は小屋の外にクンドリーが倒れているのを見つけて、介抱に余念がない。意識を取り戻したクンドリーは、グルネマンツとともに、黒い甲冑に身を包み槍を手にした、1人の騎士が近づいて来るのを目にする。それがパルジファルとは知らぬグルネマンツは、今日は聖金曜日だから武器を手にしてはならないという。するとパルジファルは槍を地に突き刺し、跪いた祈りを捧げ、やがて名乗りを上げた後、これまでの苦痛の遍歴を語る。そしてこの槍が、アンフォルタス王の失った聖槍であるのを発見して、グルネマンツはいたく感動する。また彼はパルジファルに、王の苦痛がより激しくなったこと、先王のティトゥレルが亡くなったことなどを話す。クンドリーはパルジファルの足を、聖なる泉の水で洗い清め、グルネマンツは彼を王の御前に案内するといい、パルジファルに洗礼を施す。洗礼の儀式の後、パルジファルが聖なる水をすくって、クンドリーの頭上にふりかけると、彼女このとき初めて泣くということを知り、地上によよと泣き崩れる。パルジファルは恍惚として、森の方角を眺望すると、呪いから解放されたように輝いてみえる。これをみてグルネマンツは、聖金曜日の奇跡だと喜びを込めてうたう。クンドリーが感謝と尊敬の眼差しで、パルジファルをみると、彼はクンドリーに口づけを与える。遠くから鐘の音が響いて来ると、グルネマンツはパルジファルに、聖杯守護の騎士のマントを着せクンドリーとともに、ゆっくりとグルネマンツの後ろにしたがう。
聖杯の寺院の内部。一方からティトゥレルの棺が、もう一方から病床のアンフォルタス王が、騎士たちによって運び込まれる。王は先王の棺を開かせ、父親の屍に悲しみを込めた祈りを捧げ、その後騎士たちに支えられて不治の槍傷を指し、悩める罪人に死を与えよと叫ぶ。誰にも気付かれずにそっと入って来たパルジファルは、「唯一の武器、汝を傷つけた槍のみが、傷を癒すことが出来る」といい、聖槍の穂先を王の傷に触れると、不治の傷はたちまち治り、王の顔は明るく輝き始める。するとパルジファルは中央に進み出て,聖槍を高く掲げて、この槍をクリングゾルから奪い返したと、全員に報告する。また彼は壇の上に登り、聖杯をおし戴き跪いて祈りを捧げる。やがて聖杯はかすかな光を放ち始め、寺院の内部はこの世のものならぬ光に照らされる。並み居る聖杯守護の騎士たちや、衛士と少年たちは、神を讃美する合唱を始める。そこへ白い鳩が舞い降りて来て、パルジファルの頭上を嬉しげに飛び回る。こうした光景をみていたクンドリーは、パルジファルの足元に倒れ、そのまま息を引き取ってしまう。パルジファルは聖杯を捧げ、跪いて祈りを捧げるアンフォルタス王やグルネマンツに、それぞれ祝福を与えゆるやかに幕が降りるが、この後も後奏の音楽が続けられる。
プログラムとキャスト
<スタッフ・キャスト>
演出:András Almási-Tóth
舞台装置:Sebastian Hannak
衣装:Lili Izsák
振付:Dóra Barta
ビデオ:András Juhász
照明:Tamás Pillinger
脚色&ハンガリー語字幕:Enikő Perczel
英語字幕:Arthur Roger Crane
合唱指揮:Gábor Csiki
児童合唱チーフ:Nikolett Hajzer
指揮:Balázs Kocsár
アムフォルタス:Michele Kalmandy
ティトゥレル:Péter Fried
グルネマンツ:Gábor Bretz
パルジファル:István Kovácsházi
クリングゾル:Péter Kálmán
クンドリー:Andrea Szántó
他
ハンガリー国立歌劇場管弦楽団
ハンガリー国立歌劇場合唱団
ハンガリー国立歌劇場児童合唱団
*出演者等は変更となる可能性があります*
ハンガリー国立歌劇場
ハンガリー国立歌劇場(ハンガリーこくりつかげきじょう、ハンガリー語: Magyar Állami Operaház)は、ハンガリーの首都ブダペストにあるネオルネッサンス建築の歌劇場。
概要
1858年創設。グスタフ・マーラーが音楽監督を務め、黄金時代を築いた。以後、エルネー・ドホナーニやフェレンツ・フリッチャイ、オットー・クレンペラー、ヤーノシュ・フェレンチクらが歴代音楽監督として名を連ね、リヒャルト・シュトラウス、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、ヘルベルト・フォン・カラヤンなどの巨匠達も客演指揮を行っている。
初演された主な作品に、バルトークのバレエ「かかし王子」(1917年)、歌劇「青ひげ公の城」(1918年)や、コダーイの歌劇「ハーリ・ヤーノシュ」(1926年)がある。
歌劇場の専属オーケストラはブダペスト・フィルハーモニー管弦楽団の名称で知られている。
なお、同じくフリッチャイやフェレンチクが音楽監督であったハンガリー国立交響楽団(現ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団)は、この歌劇場のオーケストラとは別団体である。